空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
今回は被相続人のすまいを売る場合の特例をご紹介します。
離れて暮らす一人住まいの親御さんが亡くなられたその土地家屋を相続しても、管理することが難しい。
こんな場合、売却を考えますよね。そこで今年4月から設立されたこのような場合の特例を詳しく見ていきましょう。
一人住まいの親御さんが亡くなり、空き家になった実家を相続人が売却する場合、
譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことができます。(「売却時の優遇税制 その3」を参照下さい)
この特例の意図は、相続による空家の発生を抑制するため、また消費税引き上げによる低所得者の負担を減らし、
経済を好循環化するのを目的として平成28年4月1日から、設立されました。
◆ 適用要件 ◆
主な要件は次の通りです。
1. 適用対象は「相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地」。
ただし、次の3つすべてを満たすこと。
① 家屋が区分所有建築物でないこと
② 昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
③ 相続開始の直前まで同居人がいなかったこと
2. 適用できる人は、上記の住宅等を相続により取得した人
3. 適用できる譲渡は次の要件をすべて満たす譲渡
① 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡すること
② 相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡すること
③ 譲渡対価が1億円以下であること。
- ただし、もともと一体だった被相続人居住用の土地建物を相続から3年後の年末までに切り売りし、
- その合計額が1億円を超える場合は適用されない。
④ 譲渡資産が、以下のいずれかに該当するものであること
④-1 空き家の実家を新耐震基準に適合するようリフォームして敷地とともに譲渡する場合
- ただし、家屋全部を取り壊す等して行う改築には適用されない。
④-2 空き家の実家を除却し、敷地のみを譲渡する場合
- ただし④-1、④-2につき相続してから譲渡するまでに、譲渡する建物や敷地を相続人が商売など事業の用に
- 供したり、他へ貸し付けたりしていないこと
◆ 適用除外 ◆
1. 次の特例と重複して適用することはできません。
・ 固定資産の交換の特例
・ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
・ 交換処分に伴い資産を取得した場合の特例
・ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の特例
・ 収用交換等の場合の特別控除
・ 特定事業用資産の買換え・交換の特例
・ 大規模住宅地造成事業の施工区域内にある土地等の造成のための交換特例
・ 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内の土地等交換の特例
・ 承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の特例
・ 特定普通財産とその隣接する土地等の交換の特例
・ 平成21年・22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の特例
2. 親子間や夫婦など特殊関係者間での売買の場合には、適用できません。
3. 相続した不動産等の譲渡については、相続税の申告期限から3年以内に譲渡した場合、
- 所定の相続税額を譲渡所得の計算上取得費に加算する「取得費加算の特例」が用意されていますが、
- この空き家特例とは重複して適用することはできず、どちらかを選択することになります。
4.重複して適用することができる特例
・ 居住用財産の買換え等の特例
・ 居住用財産の場合の譲渡損失の繰越控除の特例
・ 特定居住用財産の場合の譲渡損失の繰越控除の特例
以上の特例と重複して適用することができます。
◆ 控除の申告 ◆
特例の適用を受けるには確定申告が必要です。
参照:平成28年度税制改正の大綱(平成27年12月24日閣議決定),不動産ジャパン
詳しくは、お近くの税務署または税理士事務所等にお尋ね下さい。